(その1より続く)
当団第12回定期演奏会パンフレット作成にあたり
下記拙文を寄稿しました (;^^)
今回の定期演奏会ではシューベルト作曲の交響曲第8番「グレート」を取り上げます。
加東フィルにとりましては2007年の第2回定期演奏会で第1楽章を取り上げて以来
12年ぶりになるのですが、今回は全楽章を演奏いたします。
この作品は「グレート」と呼ばれていますが、シューベルトの交響曲第6番が同じハ長調のため、
第6番と区別する意味で編成の大きな第8番を「グレート」と呼ぶようになりました。
ですからタイトルとは違い、拍子抜けするほど牧歌的なホルンの演奏からこの曲は始まります。
その後は「歌曲王」として知られるシューベルトの作品らしく歌心に溢れながらも、
わずか31年の短い生涯の最後に病魔と闘いながら書き上げたとは到底思えないような
若々しく疾走感のある作品です。どうかご期待ください。
本稿では、上記文中「疾走感のある作品」と書いた点について
補足したいと思います。
通常、交響曲においては第2楽章もしくは第3楽章に
緩徐楽章と呼ばれるテンポの遅い楽章を挟むことが多いのですが
「グレート」においては第2(3)楽章が他の楽章に比べて
穏やかに聴こえるものの、ドボルザーク「新世界より」の第2楽章や
ベートーベン「第九」の第3楽章のように明らかにテンポの遅い
楽章はありません
実際、楽譜上のテンポ表記は次の通りです
第1楽章 Andante 〜 Allegro ma non troppo 〜 piu mosso
第2楽章 Andante con moto
参考サイトによると「歩く速さで」+「動きを持って」
第3楽章 Allegro vivace
第4楽章 Allegro vivace
上記のように第2楽章は第1楽章の序奏部よりも躍動的な
ニュアンスで書かれています。
交響曲に関する解説にもある通り、
「急・緩・急」を基本として交響曲は進化してきたのですが
シューベルトの場合は以前にも書いた通りメロディの移ろいを
楽しむ書き方になっているので、テンポの変化には頼らないのだと
思います(あくまでも私個人の意見です)
ちなみに、他のシューベルトの交響曲では第4番「悲劇的」も
第2楽章は他の楽章より緩やかですが「緩徐楽章」ほどの
遅いテンポではありません。途中になると「悲しみが疾走する」
というイメージがあります(個人的主観)
話を「グレート」に戻しますと、
ある日の合奏練習で吉澤先生より「寝落ちするほど」安心して
聴いて頂ける演奏が当面の目標と仰られましたが
通常の交響曲での緩徐楽章(「新世界より」なら第2楽章)
のような箇所がこの曲にはありません。
その意味でも安定して聴こえる事の重要性があるように思います
パンフレット表面にも書いてありますが
「シューマンが『天国的な長さ』と評した」事について
次稿で取り上げたいと思います
(その3へ続く)
2019年09月16日
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